視聴作品感想文

鮎川さん出演作品、必殺シリーズを中心に、私が今まで見てきた作品で
印象に残ったものや気になったものの感想などを書いています。
もちろんこのコンテンツも、たまに違うジャンルの作品もとりあげます。

感想1〜10

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感想11
助け人走る16話「掏摸(スリ)大一家」
   
・1973年10月〜74年6月テレビ連続作品
    ・プロデューサー 山内久司 ・脚本 猪又憲吾 ・監督 松本明
    ・出演者 田村高廣 中谷一郎 野川由美子 佐野厚子 住吉正博 (欠席、津坂匡章 山村聡)
    ・ゲスト出演 白木万理 鮎川いづみ 加藤武
・あらすじ
平内(中谷)が財布をスられて女を追っかけていた。平内の財布をスったおよう(鮎川)は橋から川に飛び込みなんとか逃げ通したが真冬のまっ最中。寒くてたまらない。火を起こして暖まっていたところに仲間であるお島(白木)が稼ぎはどうだったのか聞く。どうやらこの二人は女スリらしい。平内はなんとかおようを見つけ出しその話を聞いていた。
スリの一家の元に帰ったお島はおようがスリの親方、仙八(加藤)に痛めつけられてる声を聞く。仙八はおように男が出来たことについて怒っているようだがそれを知らせたのはなんとお島だった。おようは男が出来たことを喋らざるをえなくなったがどうしても本当のことを言いたくない彼女はさきほどスリとった財布にあった名前、平内の名前を言う。そのため平内は簀巻きにされ大川へ投げ込まれてしまった。
一方、芸者お吉(野川)のいる店で働いている定吉(松山省二)が自分の好きになった女が待ち合わせに来なかったことで悩んでいた。お吉は「それはきっと遊ばれているんだ」と言ったがそんな人ではないと定吉は言う。お吉は文十郎(田村)に定吉の探してる女を探り出してほしいと言われたらしい。同じ頃平内がそれはスリのおようではないかと直感する。
平内を助けた文十郎は、平内の死を確かめに来たお島を探り出す。お島に自分の財布をわざとスらせようとし、事情を聞く。スリの親玉の仙八はおようやお島達に男が出来ると必ずその男を消していた。しかし実は仙八は十手持ちだった。そして定吉の探していた女はおように間違いないと文十郎達は確信する。
・コメント、感想
見所はやはり後の「仕事人」シリーズでお馴染みになるりつ役の白木万理さんと、加代役の鮎川いずみさんの共演でしょうか。「仕事人」シリーズではめったに共演しない白木さんと鮎川さん。この話はその点からいくと貴重ですね(笑)
この話でちょっとビックリしたのはおよう。ストーリー中でおようは、お島が仙八に定吉のことを告げ口したこと、定吉が自分の跡をつけていたことに気付いていました。意外と感が鋭いようですね。それ以外はやっぱり、か弱くて悪役に痛めつけられるいつもの鮎川さんのやるキャラのパターンでした。
小さい頃、「仕置人」の後に「助け人」を見た記憶があります。そんなわけでこの16話を見た時鮎川さんが無事で終るかハラハラしてました。(半分は諦めてました)しかし最後、笑顔で定吉と旅に出たという嬉しい結果で終ったのでその分嬉しかった記憶があります。でも白木さんの結末はちょっとつらかったです。昔も今も最後、加藤さんの跡をつける鮎川さんの顔が加代そのものに見えました(笑)
加藤さん、結構いい悪役ぶりを演じてました。自分では手を下さないというきたない悪役ぶりがま〜た・・・・・・って感じでした。


感想12
新必殺仕事人17話「主水心中にせんりつする」

   ・1981年5月〜82年6月テレビ連続作品
   ・制作 山内久司 ・脚本 高山由紀子 ・監督 水川淳三
   ・出演者 藤田まこと 三田村邦彦 中条きよし 鮎川いずみ 菅井きん 白木万理 山田五十鈴
   ・ゲスト出演 小野進也 梶三和子 西園寺章雄
・あらすじ
鳥居家四千石の殿様、鳥居外記(西園寺)が百姓の娘、夏(石屋智子)と心中した。その現場を、親の金を勝手に持ち出そうとしていた娘の弟、春吉(吉岡靖彦)が発見し、親に口止めされると「侍は勝手だ!」と家を飛び出してしまう。
あくる日、鳥居家の奥方、綾野(梶)は奉行所へ遺体を引き取りに来た。しかし殿様と認めず、家来だと言いきったのだった。その日、その心中事件が瓦版でも書かれていた。加代(鮎川)は勇次(中条)、おりく(山田)親子の三味線屋にその瓦版を持って大騒ぎしたが、なぜか加代は「誰か私と心中してくれる人いないかな・・・」といつもと違う雰囲気を漂わせていた。おりくに「裏の仕事が嫌になったのでは?」と言われたが、自分でもわからないらしい。夜、加代は最近働いてる近所の小料理屋「およし」で、酒代をツケにしてほしいと言った井上(小野)という浪人が気になった。加代が、代わりに立て替えておくと話しかけ、その後「殺してくれるか」「心中しようか」と声をかけると井上は気持ちがわかるかのように加代と妙に気が合うのだった。井上は、どば荒らしをしていた春吉を目撃。「まじめに働け」と正そうとする。しかし春吉は井上に「剣を教わりたい」と返すのだった。直後、井上は自分と顔見知りの望月(成川哲夫)に「お前の腕を買いたい。人を斬ってほしい」と頼まれる。四千石の旗本への仕官を約束された井上は迷ったが、さきほど気が合った加代の顔が浮かぶ。
次の日、加代は井上から呼び出され「仕事をしてくるから、終わるまで待っててほしい」と言われる。加代の心は揺れるのだった。その日、春吉の家が火事になった。春吉が戻った頃には火も完全に回っており、親も斬り殺されていた。その場で井上を見た春吉は、親殺しと火付けをしたのはその井上だと知った。
・コメント、感想
加代主役編ですね。見所は簡単にいうと、いつもと違う加代が見れるところでしょう。なぜだか何もかも嫌になってしまった加代がたまたま出会った浪人、井上に恋をしますが、やはり最後は悲恋に終わります。
「井上は、加代に出会わなければあんなバカなことしなかっただろうに」という意見を見ましたが、よく考えると私もどっちかというとその意見、わかる気がします(^_^;)でもつらいですね・・・。せっかく両想いっぽかったのに・・・。「加代に関わった人は必ず死ぬ」なんて意見も見ましたが、これもその一つ。やはり裏稼業の人間“仕事人”という宿命なのかもしれませんね。
印象に残ってる場面というと、加代が主水(藤田)に「裏の稼業から足を洗うことに決めたの」という場面です。いつもと違う、重い表情と思いの加代にすごく引かれたし、印象づきました。あと、やはり井上を刺した場面でしょうか。あれを見ると胸がいっぱいになります。
この話はすごく評判がいいですが、私もすごく好きな話です。


感想13
浅見光彦シリーズ美濃路殺人事件
水谷豊主演版「浅見光彦ミステリー4」
   ・1988年テレビ単発作品
   ・原作 内田康夫 ・脚本 岡本克己 ・監督 吉川一義
   ・出演者 水谷豊 岩崎良美 井川比佐志 川辺久造 高橋悦史 乙羽信子
・あらすじ
宝石商、月岡一夫が自分の車のシートに多量の血を流した状態で失踪した。しかし、それは狂言ではないかと、マスコミや雑誌社は月岡の家族を追い回していた。浅見光彦(水谷)も気が進まないまま雑誌社に頼まれたその一人だった。しかし雑誌社には「もっと面白おかしく書け!」と文句を言われその事件については下ろされ、結局美濃紙のルポを任される。そのルポの取材中、月岡の家族の周りを付回してた時見かけた高桑雅文が愛知県犬山市のリトルワールドで殺されたことを知る。月岡の娘、月岡ミキ(岩崎)が高桑のことをおじ様と呼んでいた。そのことを犬山市の警察に知らせようと光彦も犬山のリトルワールドへ向かう。そこで光彦はたまたまミキに出会う。しかしミキにとっては光彦はしつこく付回すマスコミの一人。「もう付回さないで」とひっぱたかれる。たたかれたのは二回目だった。光彦はミキに東京へ送ると言ったが、ミキは断る。何かすることがあるようだった。一人で帰った光彦はミキのことが気になった。
次の日、気になった光彦はミキの家へ。一夫の夫人に学童疎開のことを聞いていたちょうどその頃、ミキから家に電話が来た。夫人は夫はまだ生きてると知ってるというような言葉を言った。ミキはある人物に会おうとしていたようで家に電話したのだ。それを知った光彦はミキの周辺を守るように犬山の警察に電話し、光彦もそこへ向かう。ミキはそのある人物に会うため待っていた時怪しげな人物を目撃したがちょうどパトカーが止まり、その人物は逃げてしまった。
光彦はミキに電話し、接触する。そこで木暮という名前を聞いたがミキもたまたま高桑から聞いただけで大した情報はなかった。しかしそこで月岡一夫が殺されていたことが発覚した。
・コメント、感想
本当のことを言ってしまうと、水谷版浅見シリーズ全8作の中で一番心に残ったというか心にズンと来たというか、そういうのはこの4作目の「美濃路」と8作目の「琵琶湖周航」です。その次が5作目の「越後路」か3作目の「佐渡伝説」ですね。どっちかというと5作目の方が強いかな・・・。
「美濃路」は最後、ちょっと泣きました。戦争時に学童疎開を経験した男が犯人でしたが、月岡、高桑、そして犯人であるもう一人との3人の男の“家族”という夢がものすごく心にきました。その夢を守るために殺人を犯してしまった犯人がとても哀れで、つらかったです。その男が月岡に昔指を間違って切り落とされてしまったわけですが、もし何十年ぶりにあったのが月岡でなかったら確かに殺してなかったかもしれない・・・というのは、なんだか運命を怨みたくなります。原作でもドラマでもやはり泣きましたね・・・。見ててたまらなかったです。


感想14
新必殺仕事人37話「主水娘と同居する」
   
・1981年5月〜82年6月テレビ連続作品
    ・制作 山内久司 ・脚本 吉田剛 ・監督 田中徳三
    ・出演者 藤田まこと 三田村邦彦 中条きよし 鮎川いずみ 菅井きん 白木万理 山田五十鈴
    ・ゲスト出演者 仙北谷和子 柳橋久美 遠藤義徳
・あらすじ
主水(藤田)はスリ一家に手入れをしたが、捕まえたのは子供達ばかり。その中に身寄りが全くわからない娘、おきぬ(柳橋)がいた。このまま身寄りがわからなければ石川島へいかされてしまう。主水はとりあえず家に連れ帰りなんとか身寄りを探そうと思った。が、ひょんなことからせん(菅井)とりつ(白木)が、おきぬは水野帯刀(楠利明)という護送車番頭の実の娘だという証拠の品を見つける。次の日、主水は筆頭同心の田中(山内敏男)と水野の家へおきぬが見つかったという報告をしにいったが、帯刀は水野の家名のためスリになってしまったおきぬを「実の娘ではない」と言い切った。一方おきぬの実の母親、里江(仙北谷)はそのままではあんまりと、せめて償いをしたいと三味線の稽古をしに来ていたおりく(山田)に相談した。
相談されたおりくは主水に、おきぬがさらわれた時の事情を話し、それを聞いた主水は「“親”と名乗らないのに顔をあわせるだけで親は逃げ出すんじゃ、子供が哀れすぎる」と怒り出す。主水はおきぬを引き取る決意を固め、せんとりつにも事情を話し、おきぬを立派に育てることにした。
・コメント、感想
主水主役編。突然主水に娘ができる話です。
最初おきぬは主水ともろくすっぽ口もきかなかったのですが、だんだんと主水達一家におきぬもとけこんでいきます。おきぬも主水を父親と認め始めますが、その直後・・・。もちろんスリの親玉が黙って子供達をそのままにするわけがありません。あそこでどうにかならなかったのかなぁ・・・とどうしても思います。
主水が田中様におきぬが殺された事件をなんとか調べたいと言ったのですが、簡単に片付けられてしまいます。そこの無常な表情と、仕事人の仲間達に「俺の娘の恨みを晴らしてくれ」と自ら頼み人になった主水、何か悲しみがこみ上げてきます。最後、仏壇におきぬの位牌があり楽しい想い出を思い出しながら市中を見回る主水には涙なしでは見られません。悲しくて悲しくてしょうがないストーリーでした。
しかし私にとって「新仕事人」の中で17話と同様、大好きなエピソードです。


感想15
江戸を斬る(VII)12話「裏切り盗っ人仁義」
   
・1987年1月〜8月テレビ連続作品
    ・原案、脚本 葉村彰子 ・脚本 矢田清巳
    ・出演者 里見浩太朗 鮎川いずみ 有森也美 大沢逸美 高橋元太郎 谷幹一 小松政夫
          太川陽介 松山英太郎 森田健作 若林豪 (欠席、藤岡琢也)
    ・ゲスト出演者 御木本伸介 藍とも子 宮口二朗
・あらすじ
盗賊が商家を襲い、それに虚無僧姿の片桐弥平次(若林)が立ちふさがった。しかし南町の同心達が来て、盗賊たちは全員取り逃がしてしまう。 その盗賊の頭、天満の佐五平(御木本)が傷を負った仲間、お竜(藍)と共に“ひさご”に逃げ込んだ。さらになんと、天満の佐五平はお仙(鮎川)の命の恩人で、盗賊だった頃の頭だった。お仙はとりあえず追ってきた南町の同心をやり過ごし、佐五平達を助ける。仲間達の所に戻った佐五平は仲間達にお仙のことを教えたがそのことを聞いた佐五平の部下の一人、丹次(宮口)は、お仙をもう一度仲間に引きずり込もうと掟を破り、頭に無断で盗みをし、更に人殺しする。無実の罪を被されたお仙は佐五平の所へ自ら飛び込む。
ひさごではお仙を心配していたお竹(辻沢杏子)達と、北町同心、秋月(森田)と速見(太川)がいた。そこに南町同心、色川(小松)が「お仙は北町と何らかの関わりがあるんじゃないか」と言い出し、それをたまたま佐五平の仲間が聞く。それを聞いた丹次はお仙を罠にかけようと、お仙に嘘の押し込みをする場所を教える。
・コメント、感想
お仙は、西郷版「江戸を斬る」での次郎吉的キャラです。12話はそのお仙が主役の話。この話にてお仙の盗賊になった経緯が判明します。このシリーズでの鮎川さん扮するお仙は、なかなか気が強く、しっかりしていて、先を読んでいるキャラなのですが、この主役編だけは少しだけ過去の鮎川さんがよくやってきたキャラになってた気がします。いつもなら先を読むお仙なのですが、悩んでるからなのか丹次の罠にはまってしまいます。南町の捕り方に捕まりそうになるお仙の姿は、本当に何かを感じました。この話で、恩と義理の間で苦しむお仙の姿は、なんとかしてあげたい気分にさせますね。
ところで、その場面で捕り方の一人が「さぁて、盗賊お仙の顔でもおがむか」と言ったとこで一つ疑問がありました。顔見ただけでお仙だと普通は気づくと思うのですが・・・。それとも捕まえようとしてる中で顔を見る余裕はないのかな?・・・というか、それって禁句?(笑)
この話は、ちょっとだけ辛口なことを言うと、簡単に物語が先に進んでしまった場面が1,2個あったように思いましたが、今までの「江戸を斬る」の中で似た話もなく、いつもと違うお仙の姿を見せていて、なかなかいいストーリーだと思いました。

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