少しだけの幸せ

「う〜!さぶ〜〜〜!さすが雪国ね〜」
「おい加代。宿屋はどこだ?」
一緒にいる秀が加代に聞く。
二人は江戸の伊勢屋にてやっていた“温泉宿くじ”に大当たりし、雪の降る寒い土地に来ていた。
「ほら、あそこに宿屋が見えるでしょ。そこ・・・」
ドシッ!
いきなり前から走ってきた若い男がぶつかってきて加代は尻もちをついてしまった。
何かに怯えてるようで、男は謝りもせず立ち去ろうとした。
「ちょっとどこに目ぇつけてんのよ!ごめんの一言くらいいいなさいよ!」
「ぼけ〜っと歩いてる方が悪いんだろ!」
「なんだってぇ〜!」
加代が男を追いかけていく。
「お・・・おい!待てよ!加代!」



しばらく加代は男を追いかけていた。だが・・・
「ぅあ!」
雪になれていない加代は足がもつれてころんでしまい、そのうえわらじのひもが切れてしまった。
「あ〜・・・やっちゃった・・・。やっぱりわらじじゃなくてちゃんとしたもの買うんだった・・・。冷た〜・・・」
足がかじかじに冷えてしまった加代は座り込んだままその場で、足の指を手袋をはめた手で温める。
「・・・あの〜・・・よかったらこれどうぞ」
「え?」
加代が振り向くと10代半ばくらいの可愛らしい顔をした女の子が履物を持って立っていた。
「これは・・・?」
「あ、いいんですよ。知り合いに貸そうと思ってその帰りですから・・・。遠慮なく使って下さい」
「・・・そーお・・・?それじゃ遠慮なく使わせてもらうわね。ありがとう」
加代がその子から履物を借りる。
「明日にでも返しにいくね。家はどこ?」
「・・・いいんですよ。そんなこと」
「え?なんで・・・って、ちょっと!?」
そのままその子は歩いていってしまった。
追いかけていいものかわからなかった加代は仕方なくそのまま秀を置いていった場所まで戻り、秀と合流して目的の宿屋に入っていった。
部屋にて。
「変わった女の子?」
秀が加代に聞く。
「そうなのよ。履物を貸してくれたんだけど、『返しに行くから家をおしえて』って言ったら『いいんですよ。そんなこと』って・・・」
「ふ〜ん、なんだろな・・・?」
「とにかくあたし、明日その子の家探して返してくるわ」



朝。加代は秀と朝食を食べ、そのすぐ後部屋に戻る秀をよそに宿屋の小父さんに、前日会った女の子のことを聞いていた。
「う〜んと、確か顔はすごく可愛らしい顔して、目がぱっちりしててちょっとたれ目だったかな。歳は14〜16くらいの子なんだけど・・・」
「・・・あんた、その子にどこで会ったんだい?」
けげんそうな顔をして聞く宿屋の小父さん。
「え・・・?ん〜と、確かこの宿をずっと向こうに行ってすぐの突き当たりだったかな・・・」
「・・・やっぱり!お客さん、あの子に会うのはやめときなさい」
「え?・・・な・・・なんでですか?」
「なんででもだよ。あの子には関わらない方がいい」
「え・・・、でも・・・」
「いいかい。やめとくんだよ」
「え!ちょっと・・・!」
宿屋の小父さんは行ってしまった。
「そうはいかないよぉ・・・。履物返さなきゃ・・・」
ムッとしながら小声で言う加代。
しかしそれだけではない、何かが加代にますますあの子に会いたい気持ちを高める。
しょうがないから外に出て宿屋の目の前を通っていた人を捕まえて聞いてみた。
しかし、この土地の人はさっきの小父さんと同じことを言うのだ。
イライラした加代は3人目の女の人に詳しいことを聞くことにした。
「ねぇ、どうしてその子に近づいちゃいけないの?そんな悪い子に見えなかったけど・・・」
しぶしぶ小声で喋りだす女性。
「・・・・・・おみゆは悪魔の化身なんだ」
「悪魔?どういうこと?」
「あの子には変な力があるんだよ。人の傷に手をかざしてその傷を直後に直したりして・・・」
「傷を直後に・・・?・・・って、そんなこと・・・」
驚く加代。
「それが出来るんだ!あの子には!だから悪魔の化身なんだよ」
「・・・・・・」
加代は複雑な気持ちになった。しかし、早くあの子に会いたい気持ちがもっと高まってるのは確かだった。
「ね!お願い!その・・・おみゆちゃんって子の家、知ってたらおしえて」
「あんた・・・さっきも言ったけど、あの子には・・・」
「それでもお願い!」

手を合わし、真剣な顔をして言う加代。
秀が心配な顔をして宿の部屋の障子から外の加代を見ていた。
『・・・あいつ、またおせっかいな虫が騒ぎ出したな・・・』



「こんにちわ〜・・・」
加代はおみゆの家に来た。
意外と自分の泊まってる宿から近い所にこの家があったが、人けが全くといっていい程ない所だ。
「こんにちわ〜!」
誰も出てこない。しかし人の気配があった。なんとなく障子の戸に手をかけ戸をあけようとする加代。
しんばり棒はかかっていなく、普通にあいた。
「誰!!」
中から昨日の子の声がした。奥におみゆがいた。
「あ・・・ごめんね。声かけても出てこなかったから勝手にあけちゃった。あたし、昨日これ借りたでしょ。返しに来たの」
戸を閉め、前の日借りた履物を持ちながら言う加代。
「あ・・・・・・昨日の・・・。返しに来なくていいっていったのに・・・」
「そうはいかないわよ。昨日、本当に助かったよ。ありがとう」
笑顔で言う加代。おみゆは表情一つ変えず、返事もしないでわらじを作っていた。
「・・・ね?おみゆちゃんって家族は?」
「・・・・・・・・・・・・」
「怖くないんですか?あたしの事・・・・・・」
「怖い・・・?なんで?」
「聞いてませんか?あたしの事・・・」
うつむきながら寂しげな顔をして言うおみゆ。
「あぁ・・・、不思議な力の事?そんなの嘘でしょ」
キッとした顔をし、加代を見るおみゆ。
「嘘じゃないわ!本当の事よ!だからみんなあたしを気味悪がって近寄らないわ!あたしを『悪魔の化身』と言って・・・!
おねえさんもあたしのこの力を見たらきっと怖がるわ!」
おみゆはさっき作ったのか左手に新しい傷があった。
そこに右手をかざし、瞬時に直してしまった。
驚く加代。確かに複雑な気分はあったが・・・。
「・・・そんなの・・・怖がることじゃないじゃない・・・」
加代の言った言葉はそれだった。
「え・・・?」
「いや・・・実はね、本当のこと言うとあたしも不思議なこと聞くと怖がる方なんだけど、そんなの関係ないわよ。
おみゆちゃんもあたし達と同じ人間じゃない」
「・・・・・・・・・・・・」
おみゆは泣き出していた。
「・・・・・・おねえさんが初めて・・・。そんなこと言ってくれたの・・・。あたし、両親を5年前に亡くしてからずっと一人だったから・・・」
「あ、加代でいいわよ」
「じゃあ、加代おねえさん・・・聞いてくれる・・・?あたしのこと・・・。」
うなずく加代。
「両親が亡くなってからあたし、誰にも頼らずいろんなことして働いたの。
いつの日か一緒に荷運びしてた男の人が大怪我して、あたしその人のために昔からあったこの力で治してあげたの。
・・・初めはちやほやされたんだけど・・・・・・」
「・・・そうか・・・。それで土地の人にあっという間に広がって避けられるようになったのね・・・。
今の世の中特殊なものを持ってるだけでみんな怖がって避けるからねぇ・・・」
「・・・・・・でもあたし、この土地の人って大好き」
寂しそうな顔の中に笑顔を見せるおみゆ。
「え?どうして?」
「働きもので、やさしくて、何かがあればみんなで協力して・・・。そんなみんなを見てると、心が和むの。本当はここの人たち、悪い人たちじゃない」
「・・・おみゆちゃんって・・・いい子なのね。
いいわ。あたし、おみゆちゃんのお友達になってあげる。しばらくここに滞在するからその間、ここに遊びにくるわね」
「ほんと!?ほんとにまた来てくれるの!?」
「うん」



加代と秀が来ている温泉への滞在期間は7泊8日と結構長いものだった。
あれから加代は毎日のようにおみゆの所へ行っていた。
6日目、加代はいつもの通り朝からおみゆの所に行っていた。
秀も加代のおせっかいが気にはなったが、とりあえず黙っていた。
その日の昼、秀はおみやげを買いに外に出ていた。
その秀が買い物している店で客の女が三人、ヒソヒソ話をしている。
「・・・ね〜え、知ってる?最近あのおみゆの所に女の人が来てるんだって!」
「え!?誰なんだい・・・」
「さぁ・・・?それはわからないけど歳の頃は30そこそこくらいの人らしいわよ・・・」
「その人、なんであんな悪魔の所に行くのかしら・・・?」
「・・・・・・もしかしてあの悪魔の仲間なんじゃな〜い!」
「やだ〜!」
声を揃えて女達が言う。
その会話をちゃんと聞いていた秀にはその“女の人”が加代であることを知っていた。
『・・・・・・加代のやつ・・・』

その頃加代はおみゆの家でおみゆと昼食を食べ終わっておしゃべりをしていた。
「あ〜・・・おいしかった。加代おねえさん、料理上手いんだね」
「え〜、そんなことないよ。その辺の人でも簡単に出せる味だよ」
「・・・・・・・・・・・・」
少しうつむくおみゆ。
「・・・?どうしたの?おみゆちゃん」
いきなり加代に抱きつくおみゆ。
「ど・・・どうしたのよ。おみゆちゃん」
「・・・あたしのお母さんね、生きてたら加代おねえさんと同じくらいなんだ・・・。なんだか・・・思い出しちゃって・・・。
今だけでいいの!おねえさん、あたしのお母さんになってくれる?」
おみゆは加代の胸で泣いていた。
「・・・そうか。おみゆちゃんもまだおっかさんが恋しい歳だもんね。わかった。あたし、おみゆちゃんのお母さんになってあげるよ」
「・・・ありがとう。お母さん・・・」
加代はなんだかくすぐったい気がした。



その日の夜。
「なぁに?秀さん」
温泉から出てきて部屋に帰ってきた加代を秀が呼び出していた。
「おめぇなぁ、おせっかいもほどほどにしろよ」
「は?何よ、やぶからぼうに・・・」

「・・・確かこの宿だったかな?加代おねえさんの泊まってる宿・・・」
おみゆが、加代が忘れたかんざしを届けに来ていた。
泊まってる宿と、部屋を加代に聞いたおみゆは宿の人にみつからないように加代の部屋の戸の前に立つ。
戸をを叩こうとした時、加代達二人の会話が聞こえてきた。

「おめぇ、おみゆって子に毎日会いに行ってるだろ」
「そうよ。それがなんなのよ」
「あの子がここの土地の人になんて言われてるかお前、知ってるだろ?」
「あぁ・・・そのこと。そんなの関係ないじゃないか」
「・・・あのなぁ。おめぇはいいよ!でも一緒にいる俺にも火の粉が降りかかってくるんだぞ!
俺、今日の昼間お前とおみゆって子の噂を聞いたんだ」
「・・・そんなこと・・・。そんな変な噂立ててる方が悪いのよ!」
ムスッとしながら秀と反対方向を向く加代。
「おめぇまだわかってないのか!気持ちはわかるよ!でも俺たちは・・・・・・」
「きゃあ!悪魔よ!」
チャリンッ!
突然廊下から宿屋の女中の声がしたと思った途端何かが落ちる音がした。
加代と秀の視線が戸にいく。
そして秀が戸の近くに行き戸を開ける。
「おみゆちゃん!」
加代が声をあげる。
「・・・あ・・・ごめんなさい・・・。あたし・・・・・・」
逃げ出すおみゆ。
「待って!おみゆちゃん!!」
追いかける加代。
「加代!」
叫ぶ秀。
加代は秀の呼びかけにも、宿屋の小父さんの「何があったのか?」の呼びかけにも答えず宿屋の外に飛び出したが、
なぜかすでにおみゆの姿はなかった。
仕方なく加代は宿屋の人に謝ってから部屋に戻った。
「おい、このかんざしおめぇのだろ?そこに落ちてた」
秀が加代にかんざしを渡す。
「あ・・・これ・・・!おみゆちゃんの所に忘れてたのね・・・・・・
・・・ってことはおみゆちゃん、さっきのあたし達の会話を・・・!」
「・・・・・・聞いただろうな」
「・・・そんな・・・。どうしよう・・・・・・」

おみゆは加代が宿屋から自分を追いかけて出てきた頃、実はすぐ近くの物陰にしゃがんで隠れていた。
その時、さっき聞いた加代と秀の会話を思い出していた。
『・・・あたし・・・・・・加代おねえさんにも迷惑かけてるんだ・・・。
せっかく仲良くなれたのに・・・。あたしのこと、初めて他の人たちと同じように見てくれた人だったのに・・・。
・・・でもこれ以上あたしのために迷惑かけられないよ!』



次の日。加代は朝起きてから朝食も食べずにおみゆの家に来ていた。
「おみゆちゃん!おみゆちゃん!」
戸を叩く加代。しかし応答もなければ人がいる気配もない。
どうしても昨夜の一件が引っかかっている加代はおみゆを探すことにした。
秀は部屋にいた。
『・・・どんなことしたって俺達には何も出来ないんだよ!』
昨夜の出来事でそう考えていた秀は
それでも、まさか加代に注意するつもりがあんなことになるとは思わず、少し責任を感じてはいた。
コン!コン!
「・・・誰だ?」
戸が開く。
「・・・おみゆちゃん!」
「あの・・・お願いがあるんです・・・・・・」

その日の夜。おみゆは自分の家に帰っていた。
灯りもつけず、暗い部屋でじっと正座して座っている。
『・・・・・・あたしは・・・普通の人間じゃない・・・。加代おねえさんまで巻き込めない・・・』
そう思っていた時、突然裏口がぱぁーっと明るくなった。見てみるとその裏口の戸が燃えている。
『!!』
「悪魔!この火と一緒に燃えちまえ!」
「燃えちまえ!」
「おい!どんどんつけろ!」
数人の男の声だった。
おみゆは一瞬焦ったが・・・。
『・・・・・・そうね・・・。あたし・・・このままお父さんとお母さんの思い出があるこの家と一緒に燃えてしまおう・・・。
お父さんとお母さんの所へいこう・・・』
そう思っていた。

夜になっても加代はおみゆを探していた。
とりあえず一食くらいは食べておこうと思った加代は、今、そば屋でそばを食べている。
カン!カン!カン!
その時半鐘の金の音が聞こえてきた。
「おい!人けのない所で火事だってよ!」
店の外から男の声が聞こえてきた。なんとなく加代も店の外に出て、火事が起きてる方向を見てみる。火事はおみゆの家がある方向だった。
加代は、さっきの男の言葉を思い出した。
「人けがないって言ってたわよね・・・。まさか!おみゆちゃん・・・!?」
嫌な予感がして、おみゆの家に向かった。
少しして加代は燃えている家、つまりおみゆの家に着いた。
周辺には人だかりが出来ていて、火消しの者たちが火を消すのに一生懸命になっている。
火消しの一人に声をかける加代。
「ね!ねぇっ!この中に女の子が一人いなかった!?」
「・・・それがいたんだよ・・・。助けようと一人この中に入ろうとしたんだが、火の回りが思ったよりひどくてだめだったよ・・・」
「・・・そんな・・・・・・」
「こんな家、悪魔と一緒にどんどん燃えちまえ!」
「燃えちゃえ!」
野次馬から数人のそんな声が聞こえてくる。
「ちょっ・・・・・・!」
言いかけたとたん加代はそれどころじゃないと思い、燃えてる家の中に向かおうとした。
そのとたん、誰かに腕をつかまれた。振り向く加代。

「・・・秀さん!」
「来いよ!」
「ちょっと!離してよっ!おみゆちゃんを助けなきゃ!離してってば!」
加代はじたばたする。
「落ち着けよ!」
秀に両肩を掴まれ、にらまれてしまった加代は静かにならざるをえなかった。
「今おめぇがあの火の中に入っていったらおめぇまで死んじまうんだぞ!」
「・・・そうだけど・・・・・・!おみゆちゃんが・・・・・・!」
加代は泣き出していた。



火事がおさまり、加代も秀も自分の泊まってる宿屋に戻っていた。
「・・・あたしがもう1回おみゆちゃんの家に行ってれば・・・。昼間あんなに尋ねたのに・・・」
真剣な顔をして言う加代。
「よせよ。おめぇのせいじゃねぇんだから・・・」
「・・・・・・・・・・・・あの火事・・・火付けだって言ってたわよね・・・」
一点をにらんだまま言う加代。
「・・・まさかおめぇ・・・」
「・・・・・・」
二人の目があう。
秀が突然懐から手紙を取り出し加代に放り投げる。
「え・・・。何これ・・・?」
「昼間、俺のとこにおみゆちゃんが来たんだよ。
それで俺は今日ずっとおめぇを探してたんだが、結局見つけられなくてああいう結果になっちまったんだけどな・・・。
おめぇ宛てだ。悪いけど読ませてもらったぜ。読んでみな。」
手紙はおみゆからだった。あけて読む加代。
「・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・え・・・?これ・・・」
「そうだよ。あの子は勘も鋭いみたいだな。どうやら薄々俺達の裏のことは勘付いていたらしい。今回の火事も予感していたのかもしれないな。
“私は何があってもここの人達が好き。誰も怨んでなんかいない。お願いだから怨みを晴らすなんてことはしないで”か・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
手紙を読み続ける加代。
「・・・そんなこと言われてもおめぇはやるって言うのか?」
手紙を読み終わり、言葉を続ける加代。
「・・・おみゆちゃんが「やめて」って言ってるのに・・・出来ないわよ・・・」
加代は、おみゆの手紙に自分が支えになっていて、その間だけでも幸せだったということが書いてあり、
ほんの少しでもおみゆのためになれたのは嬉しかったが、
怨みを晴らすことの他に自分が何も出来ないことに悔しさを覚え、少しもどかしかった。
秀が言葉を続ける。
「あの子は・・・最悪な結末をたどっちまったけどさ、今だけでも幸せだったんだよ。
・・・おめぇのやったことは、もしかしたら完全に間違ってたわけではなかったのかもな・・・」
「・・・でも八丁堀だったらきっと「それ!みろ!」とか言ってただろうけどね・・・」
苦笑いする加代。
加代は、おみゆの言ってる“この土地の人達はいい人だ”というのがなぜか信じられる。
だからこそここの土地の人達とおみゆがいつか仲良くなることを信じたかったのだが、
それが叶わなくなってしまったのが、心に引っかかる。
しかしこれ以上はもう仕方がない。
「・・・・・・秀さん・・・、さっきは心配してくれてありがとね・・・」
「あ?・・・あぁ・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・明日よぉ・・・帰る前におみゆちゃんの家のあったとこへ行くか」
「・・・うん」
明日は早起き。二人は早めに寝たのだった。




ノベルズ9段。今回は秀と加代です。・・・主役は加代ですが(^_^;A今までよりちょっと長めでしたがどうでしょうか?
ヒントは「激闘編」4話。たぶん「新」か「III」あたりが舞台です。実際の加代だとこんな不思議な子にあったら真っ先に避けるような気もしましたが、
もし自分と深く関わったらそんなこともないかと思ったのがこの話です。
今回の結末はちょっとさっぱりしない終わり方ですが、実はいい方向にしようか、ちょっとつらい終わり方にしようか少し迷いました。
たまにはこういう結末で・・・(汗)
ちなみに元になった話は他にもあります。

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