必殺仕事人 意外伝 大利根ウエスタン月夜

レポート提供、名もなき依頼人さん

(その1)

1985年1月4日放送

山田五十鈴さんの三味線に合わせて、藤田まことさんの前口上

藤田まことが、せきをする。

山田五十鈴「よお!」

藤田まこと「利根の川風、袂に入れて。」

山田五十鈴「お〜」


<オープニングナレーション>

「お医者さまでも 草津の湯でも 恋の病は治らねえ 恋の闇よりなお暗い 恨みの闇よりなお暗い 

 恨みの夜の稲妻に 姿が浮かぶ仕事人 顔は見ねえでおくんなせえ 心の闇を晴らして見せやす」

お松「なんつう、暗い一家だべや」

お鹿「私、インディアン。 元、日本人」 

山内敏男「時代錯誤ですよ! どうやって行くんですアメリカへ。しかも、江戸時代に!」

藤田まこと「ちゃんと行けるんですよ! 時代錯誤は、貴方の方! ね!
江戸時代でもアメリカへ行ける様に、ちゃんと、科学的に解決されているんですから!」

山内敏男「もう嫌、こんな生活。」

山田五十鈴「まあまあ、話は観てのお楽しみ!」

山田五十鈴が、三味線を弾き、

山田五十鈴「よお!」

    藤田まこと「義理にゃ強いが、情けにゃ弱い。されば、天保15年、抜けば弾散る長脇差し、赤い血吹き、一度(ひとど)に浴びて、飯岡、笹川、両身討ち、名代なりける朗ゲンカあ〜 伝え伝えし水滸伝」

 

必殺仕事人意外伝

主水、第七騎兵隊と闘う

大箱根ウエスタン月夜

舞台は、天保14(1843)暮の下総海上郡清郷である。

     この利根川沿いの利権を巡って、笹川の繁蔵と飯岡の助五郎のヤクザの地盤争いが、激しい土地で有る。

繁蔵の用心棒に、平田深喜がいる。又、飯岡側は、州の崎の政吉がいる。

     この地を治める関八州取締出役・桑山盛助は、ヤクザと癒着しており、泣きをみるのは弱い者だけ

で有る。

お松、お鹿、お松の母親が、餅つきをしている。

この土地を、訪れていた、おりくが、三味線を弾いている。

良い音色に、感謝したお松が、お鹿に餅を持って行かせる。

御礼に、おりくが、お鹿に、お守りを渡し、その場を立ち去る。

その後、やくざの抗争に巻き込まれ、お松の母親が、命を落とす。

お鹿が、「人殺し」と叫ぶ。

 

夜、おりくが、三味線を弾いている、側に、次郎衛門がいる。

おりくが、三味線を弾くのを辞めた時、そこへ、お松とお鹿が、駆けて来る。

追っ手は、飯岡のヤクザの連中の様だ。

馬に乗った、次郎衛門が2人を救出する。

  どうも、2人は、江戸へ向かっている様である。それを、阻止する為に、飯岡のヤクザが、

追っ手を差し向けた様だ。

結局、おりくが、2人を江戸へ送る事になった。

    その時、おりくが江戸の衆で有る事を知ったお松が、おりくに、「仕事人ちゅうのを知っているか」

と尋ね、それを聞いた、おりくの表情が変わる。

 

<江戸>

     新年の初出勤をする主水、しかし、本日から仕事であるのに、新年の挨拶だけだと思っていた主水は

  田中から、 [南町奉行所広しと言えども、そんな格好をしているのは、貴方1人ですよ!]と、

嫌味を言われる始末。

 

中村家にて

遠い親戚の子供達が、沢山集まっている。

主水は、これでは、自宅でゆっくり出来ないと、今夜、夜勤だと言って、出掛ける。

   その後、主水は、加代と再会。主水は、お金をたかられると思い、人の面倒を見る余裕はないと、

 加代に言うが、加代は、「金の事は良い。挨拶に来ただけだ。」と言って、その場を立ち去る。

主水は、加代が、上方でがっぽり、貯め込んで、帰って来たと思い込む。

政が、荷車に引かれそうになった子供を助ける処に、遭遇する主水。

     政が、荷車を止めた、木の枝を取り、何か有ると疑問を持ちながらも、「危なねえとこだったな!」と、

言い残し、木の枝を政に渡し、その場を立ち去る主水。

    江戸の街を歩く、主水。ハレギマに、遭遇する主水。そこへ、田中が駆け付ける。身を隠す主水。

   しかし、田中に見付けられ、ハレギマを追い駆ける様に命令される主水。仕方なく、ハレギマを

追い駆ける主水。

(ハレギマ…女の人の晴れ着を切る悪い人の事。)

 

江戸・日本橋

お松が、「しごとにん たのみたし」の看板を掲げている。それを、組紐屋から覗く竜。

そこへ、主水を探している田中が、通りかかり、お松を、番屋まで連れて行こうとするが、竜の組紐で、

田中が転んだ隙に、逃げるお松。

  主水は、ハレギマを見付けていた物の、見返りを要求し、ハレギマを見逃してやる事に。そこへ、お松が、

飛び込んで来て、ハレギマとぶつかる。お互いの顔を見合わせた、お松とハレギマ。

実は、夫婦だった事が判明。

おりくが、日本橋へやって来る。そして、竜に、お松は、何処へ行ったのか尋ねるが、首を横に振る竜。

おりくは、「夜、イマドガシの慈堂蔵で待っている」と伝言して欲しいと、竜に頼んでその場を、

立ち去るおりく。

その後姿を、見送る竜。

主水が、加代の処へ、やって来る。そこに、何と、政が居た。政は、加代の間借り人らしい。

  しかし、主水は、政には、初遭遇の時の印象から、何か有ると睨んでいた為、加代に、素性がバレない様に、

気を付ける様にと、警告する。

 

吉原

  お鹿を見付けた、勘太は、お鹿を引っ掛け様とするが、実は、2人は、兄と妹の関係で有った事が、判明する。

江戸で再会した、お松一家。

この時、お松が、「なんつう、暗い一家だべや」と発言。

 世間が悪いと嘆く、お松の亭主と勘太。お松は、お鹿を100両で売り、その資金を仕事人への頼み料に、

お鹿は、客を取らされる前に、逃げ出さす計画を立てる。

お鹿の客として、主水が狙われる。まんまと、お松の計画に嵌めれた主水は、着物と刀を奪われ、

お鹿は、その場から、逃げ出す事に成功する。主水は、取り残されたままで有る。

 

イマドガシの慈堂蔵

  おりくが、煙草を吹かしながら待っている。そこへ、100両を持って、お松が現れる。無理をしない様に、

お松に忠告するおりく。その時、仕事人を名乗る者が、2人現れるが、言葉に下総のなまりが有る事から、

おりくに、下総のヤクザの回し者だと、見破られる。「哀しみ色の…」の曲と共に、政と竜が、

偽の仕事人を始末し、仕事を請ける事を承諾し、「手打ちは明日の昼、中川の渡しだ。」と言い残し、

去って行く。

一方、主水は、加代の助けを借りて、女装して、ようやく逃げ出す。逃げる途中、田中と遭遇する主水だ

何とか、加代のフォローで、その場を逃れる。その後、順之助を発見する加代。

順之助と加代の助けを借りて、何とか船に乗って、逃げようとする主水だったが…。

何かを見つけて、走り出す主水。その後を追う加代。

一人、残された順之助は、その後、玉助に絡まれる。

 

中川の渡し

竜と政が、待っている。そこで、おりくが、声を掛ける。対決するおりくと竜、政。

間一髪、竜と政の攻撃をかわす、おりく。

  主水と加代が、お松一家を発見し、ようやく、着物と刀を取り戻す。怒りの収まらない主水は、お松一家を、

お縄にすると言い出す。お松が、理由を説明し、100両返すと申し出る。100両と聞いた瞬間、加代が、

主水に勘弁してやろうと言い出す。その時、三味線の音が聞こえて来る。音色が聞こえて来る方へ行く、

主水と加代。

久し振りに、おりくとの再会で有る。しかし、竜と政の存在に、気付く主水。

対峙する主水と竜、政。100両を巡って、睨み合う主水と竜、政。

おりくが、堪らず、「どっちにしても、早く決めておくれよ!」と言う。

  その間に、次郎衛門が、船に乗り、川を渡って来る。その船に乗り込み、お松一家は、その場から立ち去る。

主水は、加代に追跡を命じる。追跡の途中で、順之助に出会う加代。

 

橋の袂で

  次郎衛門が、お松一家に、100両で仕事人を頼むより、下総以外の場所で、田畑を購入して穏やかに暮らし

  た方が良いのではないか?と進言する。揺れるお松の心。夕日が落ちる。

お松が、亭主や勘太に百姓に戻れるか?と、問い詰める。勘太と亭主が、百姓をやる事に同意する。

お松一家が、1つにまとまった瞬間で有る。

  お鹿が、歌を歌い出し、家族と次郎衛門が、それに合わせて、手を叩き、声を揃える。

一時の幸せの瞬間だった。

しかし、次の瞬間、下総のヤクザ共に、襲われ、捕われるお松一家。

唯一、お鹿が、船に乗って逃げる物の火を放たれ、船は炎上した。

炎上する船を見て、「お鹿!」と呟く、次郎衛門。

この様子を見ていた加代と順之助。加代は、この事を知らせる様に、順之助を主水の元へ走らせる。

その2へ

inserted by FC2 system